アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2024年4月23日、お客様が最も簡単、迅速、かつ安全に高度な生成AIアプリケーションを開発し、新たな体験を実現できるよう支援するAmazon Bedrockの新たなイノベーションを発表しました。
これらのイノベーションの1つであるAmazon Titan Image Generatorを使用して作成したイラストを用いて、詳しい内容を見ていくことにしましょう(もちろん、舞台は土星最大の衛星であるタイタン[Titan])の地表です)。
組織独自のモデルをAmazon Bedrockに取り込むための新しいカスタムモデルインポート機能
![CGによるイラスト。空に土星が見える赤い地表に 3 台のロボットが立っている。 真ん中のロボットが両手を上にあげてバンザイしている](https://cdn.statically.io/img/assets.aboutamazon.com/dims4/default/bc4a80b/2147483647/strip/true/crop/1600x900+0+0/resize/1320x743!/quality/90/?url=https%3A%2F%2Famazon-blogs-brightspot.s3.amazonaws.com%2F83%2Ff4%2Ff088a1a54581be3995df57077105%2F01waving-from-the-surface-of-the-moon-titan-with-saturn-in-the-background-three-very-friendly-robots-with-arms-linked-are-looking-up-toward-saturn.jpg)
Amazon Bedrockをご利用中のお客様の間では、公開されているモデルを分野に特化したユース��ースに合わせてカスタマイズすることで、独自のデータを活用するケースが増えてい��す。これは、お客様がAmazon Bedrockで利用可能なさまざまな基盤モデル(FM)と大規模言語モデル(LLM)の知能を独自のデータと組み合わせた場合に得られる複合知能の効果によるものです。生成AI版「三人寄れば文殊の知恵」といったところでしょうか。このように知能が増強されるということは、最終的に開発されるアプリケーションがより広範なユースケースに対応できるということでもあります。では、お客様は何を求めていたのでしょう?それは、独自のカスタムモデルをAmazon Bedrockに簡単かつ安全に追加する方法です。
Amazon Bedrockのカスタムモデルインポート機能により、組織独自のカスタムモデルをAmazon Bedrockに取り込んで、フルマネージドAPIとしてアクセスできるようになり、生成AIアプリケーションの構築時にかつてない選択肢がもたらされます。まず初めに、Amazon SageMaker上で、もしくは他のサードパーティツールやクラウドプロバイダーを利用してカスタマイズしたモデルを、Amazon Bedrockに容易に追加できます。自動の検証プロセスが終了した時点で、Amazon Bedrock上の他のモデルと同じように、カスタムモデルにシームレスにアクセスすることが可能です。
この新機能により、同一のAPIを介してAmazon Bedrockのモデルと組織独自のカスタムモデルの組み合わせを容易に選択できるようになります。現在、Amazon Bedrockカスタムモデルインポートはプレビュー版として提供しています。最も普及しているFlan-T5、Llama、Mistralの3つのオープンソースモデルアーキテクチャーに対応しており、今後拡張していく予定です。
生成AIアプリケーションを構築・デプロイするのに最適なモデルの評価、比較、選択を支援するモデル評価機能
![CGによるイラスト。木星と土星が見える地表に2台のロボットがシーソに乗っている。](https://cdn.statically.io/img/assets.aboutamazon.com/dims4/default/0feb79e/2147483647/strip/true/crop/1600x900+0+0/resize/1320x743!/quality/90/?url=https%3A%2F%2Famazon-blogs-brightspot.s3.amazonaws.com%2F29%2Fd7%2Fbf0d9a1348068285259093600e01%2F02seesaw-from-the-surface-of-the-moon-titan-with-saturn-in-the-background-two-very-friendly-robots-are-on-a-see-saw-balancing-each-other.jpg)
もちろん、複数のモデルを組み合わせて知能を増強する以前に、お客様のアプリケーションに最適なモデルがどれなのかをしっかり見極めることが必要です。特定のユースケースに合ったモデルを選択する際には、モデルの精度とモデルのパフォーマンスの微妙なバランスが求められます。これまでは、新しいモデルやユースケースが出てくるたびにこのような調整作業を行う必要があり、しばしば多くの時間と労力を要していました。その結果、生成AIを開発し、お客様に体験を提供するまでに長い時間がかかっていました。
今回、一般提供を開始したモデル評価機能では、Amazon Bedrock上のモデルを迅速に分析・比較できることから、モデルの評価にかかる時間が短縮されます。そのため、新たなアプリケーションや体験をより速やかに市場に投入できるようになります。事前に定義された評価基準(正確さ、堅牢性など)を選択して独自のプロンプトライブラリーをアップロードするか、もしくは組み込まれた公開データセットを選択することで、開発を速やかに開始できます。主観的な基準や、微妙な判断が求められるコンテンツでは、人間ベースの評価ワークフローを簡単に設定できます。設定プロセスが完了すると、Amazon Bedrockは評価を実行してレポートを生成します。よってお客様は、重要基準に対するモデルのパフォーマンスを把握し、ユースケースに合った最適なモデルをすばやく選択することができます。
Amazon Titan AIモデルファミリーに2つのモデルを新たに追加
![CGによるイラスト。茶色い砂の地表面に円盤型の宇宙船と緑色のロボットが立っている。その前に黄色い花が土から生えている。画面情報に大きくFlowerの文字](https://cdn.statically.io/img/assets.aboutamazon.com/dims4/default/3506fe5/2147483647/strip/true/crop/1600x900+0+0/resize/1320x743!/quality/90/?url=https%3A%2F%2Famazon-blogs-brightspot.s3.amazonaws.com%2Fb2%2Fc2%2Fbf22a63c46f3b4e4e8a3ae365ed5%2Ffrom-the-surface-of-the-moon-titan-with-saturn-in-the-background-the-text-flower-in-modern-font-emerges-from-a-very-friendly-robots-mouth-the-text-then-becomes-images-of-sunny-flowers-on-the-moons-surface-1.png)
AWSは、目に見えない電子透かしに対応したAmazon Titan Image Generatorと、Amazon Titan Text Embeddingsの最新バージョンの一般提供の開始を発表しました。いずれもAmazon Bedrockでのみの提供となります。
これに伴い、広告、eコマース、メディア、エンターテインメントなど多くの業界のお客様が、Amazon Titan Image Generatorにアクセスして、高画質の画像を一から作成したり、既存の画像を低コストで強化・編集できるようになります。プロンプトフィールドに説明を文章で入力するだけで、Amazon Titanがその文章を説明したとおりの画像やスタイルに変換します。たとえば、上掲の画像の場合、「土星を背景にした衛星タイタンの地表で、非常に友好的なロボットの口からモダンなフォントの「flower」という文字が現れ、次にその文字がタイタンの地表に咲く太陽のような明るい花々の画像に変わる」という指示を出しました。
Amazon Titanは、生成するすべての画像に目に見えない電子透かしを入れることで、AIで生成された画像の識別を助け、安全・確実で透明性のあるAI技術の開発を促進すると同時に、偽情報の拡散を抑制します。また、このモデルは電子透かしの有無をチェックすることもでき、Amazon Titan Image Generatorで生成された画像かどうかを確認するのに役立ちます。
今回発表された2つ目はの新しいサービスは、Amazon Titan Text Embeddings V2です。同モデルは検索拡張生成(retrieval augmented generation、RAG)を利用するように最適化されており、情報検索、質疑応答チャットボット、「おすすめ」のパーソナライズなど、さまざまなユースケースに適していますRAGはモデルカスタマイズの一般的な手法の1つであり、FMがさらなるナレッジソースに接続し、それを参照することで、より精度の高い回答を選択できるようになっています。理想的な結果が得られる一方で、これらの処理ではコンピューティングとストレージに多大な負荷がかかる可能性があります。今月末に提供が開始される新しいAmazon Titan Text Embeddings V2では、低遅延のモバイル展開から、高精度の非同期ワークフローまで、多様なアプリケーションニーズに対応する柔軟な埋め込みサイズを利用するというオプションが用意されています。これによって、RAGユースケースで97%の精度を維持しつつ、全体のストレージを最大1/4にまで減らすことができます。
Guardrails for Amazon Bedrockにより、個人情報や機密情報、冒涜表現、特定の単語を削除し、有害なコンテンツをブロックする保護機能を容易に実行
![CGによるイラスト。空に木星と惑星が見える砂の地表面。そこにある湖の際のガードレールにつかまって立っているロボット](https://cdn.statically.io/img/assets.aboutamazon.com/dims4/default/7bad960/2147483647/strip/true/crop/1600x960+0+0/resize/1238x743!/quality/90/?url=https%3A%2F%2Famazon-blogs-brightspot.s3.amazonaws.com%2F23%2F50%2Ffbfff51a4104a4f0d728609667e7%2Finline-bedrock-robot-holding-guardrails.jpg)
あらゆる業界で生成AIが利用されるには、安全で、信頼でき、かつ責任ある方法での導入が大前提となります。多くのモデルでは、あらかじめ組み込まれた制御機構を用いて、望ましくない有害なコンテンツのフィルタリングを行っています。しかし多くの組織が、モデルをさらにキュレートすることで、関連性があり、企業ポリシーに合致しつつ、責任あるAIの原則に準拠した応答を返せるようにしたいと考えています。今回、一般提供を開始したGuardrails for Amazon Bedrockは、業界をリードする安全機構を提供することで、最大で85%の有害コンテンツのブロックを可能にします。
ガードレールを作成するには、お客様のアプリケーションのコンテキストにおいて許可されないトピックを、自然言語で定義すればよいだけです。また、しきい値を設定して、ヘイトスピーチや、人を傷つける言葉、性的表現、暴力といった分野のコンテンツを除外することもできます。これは、冒涜表現や特定の禁止用語を削除するためのフィルターに加えて提供されるものです。Guardrails for Amazon Bedrockは、大手クラウドプロバイダーが提供するもののなかで、組み込み型およびカスタムの安全機構を1つのサービスで提供することが可能な唯一のソリューションであり、Amazon Bedrockのすべての大規模言語モデルや、お客様により微調整されたモデルと連動するようになっています。
Amazon Bedrockは、生成AIアプリケーションを迅速に構築・展開するための主要な使いやすい機能とあわせて、AI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Mistral AI、Stability AI、Amazonなどの大手AI企業の提供するファーストパーティおよびサードパーティの大規模言語モデル(LLM)や他の基盤モデル(FM)の幅広い選択肢にアクセスできることから、すでに数万のお客様の生成AI戦略の基盤として採用されています。Amazon Bedrockの強力な基盤モデルは、フルマネージドサービスとして提供されるため、お客様はコンピュートインスタンスのプロビジョニングを心配する必要がなく、シームレスなデプロイ、拡張性、継続的な最適化が保証されます。
Amazon Bedrockの使用を開始するには、こちらからお手続きください。また、AmazonのAIイノベーションの詳細はこちらでご覧いだけます。
この記事は2024年4月23日にアメリカ版About Amazonで公開された記事を翻訳したものです。